えびねの育て方、栽培法方


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日本には北から南まで自生している「エビネ」ですが、やはり北と南では栽培法は、かなりの違いがあります。ここでは、当苑、九州は鹿児島での一般的な栽培法を、お知らせいたします。
「エビネ」は庭植えと鉢植えがあります。庭植えは、木陰に植え込むだけで毎年4,5月になれば、綺麗な花を咲かせ、どんどん増えていくとの声も多数あります。遮光や多少の肥料、培養土の注意だけで、特別な対策はいりませんが、ウイルス病の予防や連作障害も考えてここでは、鉢植えを中心に書いていきます。

用土

「さつま土」や「日向土」や「赤ぼら」と言った、ボラ土と呼ばれる火山灰土が主に使われます。鹿沼土と同じく多硬質ですが、やや堅く崩れにくい用土です。崩れやすい土ですと、鉢の中で崩れてしまい、根腐れを起こしてしまいますので、使用は控えた方が良いでしょう。植え込み用土には、腐葉土を1〜2割程度混ぜたり、それにベラボン(ヤシ殻)や、バークチップも、入れると良いと思われます。

肥料

液体肥料と固形肥料を併用する人が多いようです。夏の間は余り使わずに、人間と同様に食欲がある春と秋に固形を施肥したり液肥をかけたりすると良いでしょう。またどちらにしても必ず「控えめ」を念頭におき施肥しましょう。肥料が少ないと「肥料が足りない」だけですが、逆に強いと「肥料痛み」が起き、ひどいと枯れてしまう可能性も少なくありません。規定の量より若干少なめが良いと思います。

水やり

成長期は、2〜3日毎に行います。ここでは、水はけの良い用土で植え込みを行っていますので、毎日でも結構です。特に、真夏の暑い時期は、多い程良いです。えびねは、かなり水を好みますので、多いに越したことはないようです。時間帯は、温度が下がりはじめる、夕方にかけての方が良いと思います。この時期に、水が不足すると、花芽が小さくなるので注意しましょう。冬は1週間〜10日に一回でも結構です。全ての時期に言える基本的なことは、土の表面か乾く前に水をかけるのが良いでしょう。

病気の殺菌

病気の主なものは、炭素病、軟腐病、ウイルス(バイラス)病などでしょう。
炭そ病は、葉に褐色から、黒褐色の病斑が現れ、放っておくと次第に円形などに広がり、ひどいときには、葉全体が腐敗する。この場合、ダイセンの1000倍液や、ダコニールの800倍液を、葉の裏表に十分に散布する。ダイセンを水で練り、筆などで葉に塗りつけても、病気の発生や、進行をくい止めることが出来る。
軟腐病は発芽当時の新芽や袴が柔らかく溶けて腐敗する病気で、手でひっぱると葉が簡単にスポッと抜けてしまうことからスッポ抜けとも呼ばれる。多湿で通気の悪いような場所や時期(梅雨期)での、発生が多いようである。この病気は、新芽の展開から成長期に、努めて通気をはかるか、涼しく管理するのが良い。葉や袴にキズがあったりするとそこから菌が入いりやすいので、注意して育てたいものです。薬剤としてはストレプトマイシン剤1000倍液を散布します。
ウイルスによる病気にかかった株は、病気を治す薬剤も処置法もなく他の株への感染を防ぐしかない。現在知られているウイルスは、シンビジウム・モザイク・ウイルスが一番代表的なもので、あと、エビネ微斑モザイクウイルス、ランえそ斑紋ウイルスなどが発見されている。その中でも、シンビジウム・モザイク・ウイルスは、様々なラン植物に見られ、伝染力が強い。いずれも症状は葉に見られ、筋状の透かし模様や、脱色斑や、リング状の模様が現れたりします。又ひどいものは、花に脱色症状が現れたりします。ウイルス病の注意点は、1番に植え替えや株分け時に使用するはさみをきちんと消毒することが何よりも大切である。ガスバーナーではさみを焼くのが1番早いが、ライターなどでも十分である。あと、古い鉢や土は、病原菌を持っている可能性があるので、土は処分し、鉢は煮沸消毒することが大切である。また、伝染媒体として、アブラムシ、ハダニが、解っているらしいですので、害虫駆除に心がけましょう。

害虫の殺虫

アブラムシは、葉にも発生しますが、よく花や花茎につきます。ダイジストンやオルトラン粒剤、アセフェート粒剤を鉢元にまいておくと良いでしょう。マラソン乳剤等を使用するのも効果的である。
ハダニは、風通しが悪かったり、温度が高く空中湿度が落ちると発生し安くなり、葉裏が1面白っぽく見える状態になります。マラソン乳剤、ケルセン剤、ニッソランなどの殺ダニ剤を葉の裏に直接かけるのが効果的である。同じ種類の薬剤を、同じものを複数回散布するのではなく、数種類を順番に散布しないと、耐性ができてしまうので注意しましょう。
カイガラ虫は風通しが悪く乾燥するとよく発生します。成虫になって固い殻を作ってしまってからでは困難ですので、幼虫の時に、マラソン乳剤やスミチオン乳剤、カイガラ虫駆除剤などで、防除します。
ナメクジも害虫の1つです。葉や鉢、土の上を通ると通った後が、ピカピカ光るのでよくわかります。夜行性で見つけにくいので、殺ナメクジ剤を置いて、駆除します。
新芽に卵を産み付けるハモグリバエは9月頃にスプラサイトを散布したり、ハモグリバエ用のハエ取り紙もあり、便利である。

株分け 植え替え

株分けや植え替えには、根の伸びた6〜7月か暑さを通り越した9月下旬〜10月下旬までが良いでしょう。先ほど、ウイルスの時に書いたように、このとき使用するはさみは、1株ごとに消毒を行い、古い土は使用せず、鉢は消毒済みのものか、新品を使用しましょう。